国土交通省住宅局のデータによると、勤労者世帯における家賃支出割合は全体で13.9%、単身・40歳未満では男性が19.9%、女性が24.7%にもなっています。
参照:国土交通省住宅局「社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 新たな住宅セーフティネット検討小委員会 参考資料」
20年前からの推移をみると家賃支出割合は全世帯とも増加傾向、特に40歳未満の若い世帯では上昇割合がより高くなっているのが実情です。
こんな時ありがたいのは家賃補助、会社からの住宅手当ては家計の助けになります。
とは言え心配なのは税金のこと、家賃補助には税金がかかるのか、そもそも住宅手当は課税対象なのか、わざわざもらった手当が減額されるか心配です。
何事も事実関係を正しく把握して、必要の応じた対処が大切です。早速確認してきます。
【家賃補助の税金】住宅手当は課税されるのか?
会社から給料にプラスして支払われている家賃補助や住宅手当、残念ながら現金で支給されてる手当は給与の一部とみなされ課税対象になってしまいます。
つまり税制上は、残業手当と住宅手当とは同じ扱いになり、所得税に加え住民税の課税対象となるのです。
住民税の税率は一律の区市町村民税6%に都道府県民税4%がプラスされた合計10%、仮に所得税の税率を10%とすると合計20%が税金で引かれます。
住宅手当は満額手元に残るのではなく、約2割減が実際の補助金額ということです。
【家賃補助の税金】社宅の場合はどうなる?
会社の福利厚生には、住宅手当として現金を支給するのではなく、安い家賃の社宅を提供し家賃補助としているケースがあります。
この場合、毎月家賃補助として現金を受け取っておらず、逆に家賃分が給与天引きされているため追加の収入はありません。
つまり、課税されるものがないので非課税との認識したいですが正しいのでしょうか?
しっかりと検証してきます。
社宅でも所得税がかかるは本当か?
社宅は建物としての住宅補助であり、現金での支給はありません。そのため課税するものがないので非課税と思いたいですが、国税庁の解釈は違います。
社宅の家賃と国税庁が定める賃貸料相当額との間に差額があれば、基本は差額分に課税されるのです。
つまり市価よりも安い家賃で社宅を借りている場合は、注意が必要です。
ちなみに「賃貸料相当額」は次の通り定められています。
「賃貸料相当額」を元にした課税の考え方は次の通りです。
社宅の家賃 | 課税対象 |
---|---|
無償 | 賃貸料相当額を給与として課税 |
賃貸料相当額より安い | 差額を給与として課税 |
なお、契約者が会社ではなく社員の場合、社宅として認められないので会社支払い分は全て課税対象となり注意が必要です。
実はある社宅を非課税にする方法
「賃貸料相当額」と社宅家賃との差額分が課税対象、つまり単純に考えると家賃が「賃貸料相当額」以上であれば非課税になると思いがちです。
実際はそこまで支払う必要はなく、国税庁のホームページによると、社宅の家賃が「賃貸料相当額」の50%以上であれば差額は非課税になります。
つまり、非課税にこだわるならば、社宅の家賃は「賃貸料相当額」の50%が最安家賃となります。
ただし、「賃貸料相当額」の50%以上が適用されるのは社員のみ、役員の方はこの”50%”が適応されませんのでご注意ください。
参考:「役員に社宅などを貸したとき」国税庁
”50%”は従業員思いの特例かもしれません。
【家賃補助の税金】所得税の対象になるのは?
どんな手当が所得税の対象になるのか?
住宅手当が課税対象ということはわかりましたが、他にも課税対象の手当はあるのでしょうか? なんだかビクビクします。
国税庁のホームページによると給与所得とみなされる手当は次の通りです。
会社から支給される手当は原則として課税対象、と認識した方が良さそうです。
所得税の対象にならない手当もある
基本的に現金支給は課税対象となってしまう会社からの手当、でも課税対象とならない非課税手当も存在するのです。
国税庁のホームページによると、つぎの手当は非課税となっています。
つまり、通勤手当、宿直・日直手当は限度内であれば、出張旅費は全額が非課税になります。
考えてみれば、通勤手当や出張旅費はほぼ実費のため、税金を引かれると赤字になってしまいます。この点は考慮しているようです。
【家賃補助の税金】いくらとられる?
課税対象である家賃補助、住民税は一律10%ですが所得税の税率はいくらになるのでしょうか?
少しでも手元に残ってほしい切実な気持ち、みんな同じです。早速、検証していきます。
家賃補助の税金はトータル年収で税率が決まる
住宅手当にかかる所得税の税率は一律には決まっていません。所得税の税率は年間トータル収入により決まります。
国税庁のホームページによると、課税される所得金額と税率の関係は次の表の通りです。
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
0.1万円 から 194.9万円まで | 5% |
195万円 から 329.9万円まで | 10% |
330万円 から 694.9万円まで | 20% |
695万円 から 899.9万円まで | 23% |
900万円 から 1,799.9万円まで | 33% |
1,800万円 から 3,999.9万円まで | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
例えば年収300万円〜500万円の方をモデルにした場合、平均課税所得は208.5万円で所得税率は10%となります。
参考データ:国税庁「平均所得金額及び平均税額」
厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査の概況」によると、住宅手当の平均値17,000円、所得税を10%とした場合、実質の住宅手当は10%減の15,300円です。
これで税金は終わりません、住民税10%が控えております。
そのため住宅手当はさらに10%相当の1,700円減額され税引き後は13,600円、年間では40,800円も目減りした金額が実質の住宅手当になります。
給与明細に記載されている住宅手当の金額は額面通りに受け取らない方が良い、実質は税金分の2割ほど減額されることに要注意です。
【家賃補助の税金】家賃補助が非課税になるものがある!
現金で支給される家賃補助は課税対象です。これは会社からの住宅手当でも地方自治体からの補助金でも課税対象にかわりはありません。
しかし、非課税の家賃補助も存在するのです。
それは「特定優良賃貸」、国や地方自治体から最長で20年間も家賃の一部を補助してもらえるありがたい制度です。
ただし「特定優良賃貸」には所得制限が上限はもちろん下限もあり、さらに毎年の収入に応じて補助金額の見直しもあります。
入居者の収入に応じて必要な分だけ補助してくれる制度なので、非課税になっているのでしょう。
都道府県での特定優良賃貸の事例
家賃補助が非課税になる特定優良賃貸、都道府県が実施しているもののうち大阪府と福岡県の事例を紹介します。
区市町村での特定優良賃貸の事例
家賃補助が非課税になる特定優良賃貸、区市町村が実施しているもののうち京都市と北九州市の事例を紹介します。
家賃補助制度がある会社を探せる転職サイト
家賃補助には税金がかかるとは言え、無いよりはあった方が良いのは当然のことです。
在籍中の会社に住宅手当の制度がなければ、転職時には家賃補助制度のある会社を候補にすると給与プラスした収入になります。
日本でも終身雇用は既に崩壊済、これからは最初に就職した会社に一生勤務する方が珍しくなるでしょう。
今は考えていなくてもいつか来る転職検討時のために、家賃補助制度がある会社を探せる転職サイトを紹介します。
もちろんキャリアアップや給与アップのために、今すぐ転職を考えている方にも役立つ転職サイトです。
doda(デューダ)│豊富なこだわり条件で検索できる
dodaで求人を検索する際に設定できるこだわり条件では、「待遇・福利厚生」カテゴリーで「社宅・家賃補助制度」を選択できます。
家賃補助にこだわりたい方にオススメの転職サイトです。
dodaについて詳しくはこちら→ 【dodaの評判】使いにくい?デューダでの転職の口コミ
リクナビNEXT│使いやすいサイトが評判
リクナビNEXTの求人検索は、職種・勤務地・働き方の3つを選択する構成になっています。
そのうち「働き方」の「福利厚生の特徴」カテゴリーには「社宅・家賃補助制度あり」の項目があり、チェックすると家賃補助ありの企業を検索できます。
企業へ問い合わせる必要なく家賃補助制度の有無が分かる転職サイトは有り難い存在です。
リクナビNEXTについて詳しくはこちら→ 【リクナビNEXTの評判】口コミと転職サイト・リクナビネクストの評価
【家賃補助の税金】まとめ
家賃補助はとてもありがたい制度、特に家賃支出の割合が高い単身・40代未満にとって、有るのと無いのとでは大違いです。
在籍の会社から住宅手当を支給されている方はラッキー、しかし、課税対象なので全額は手元に残らないことに注意が必要です。
社宅に住んでいる方も税金には要注意、家賃相当額と社宅家賃との差額が課税対象になってしまいます。
家賃補助に課税されないのは特定優良賃貸のみ、入居条件が合えば利用すると良いでしょう。
そもそも勤務先に住宅手当の制度が無い方は、転職を考えた時に制度有りの会社を優先的に選ぶと給与にプラスして収入を得られます。
これからはキャリアアップで転職が当たり前の時代、誰もが転職する時代になりつつあります。
そして、次の勤務先はこだわり条件で選べる時代になっているのです。
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